

導入前は、点検作業をすべて紙の点検表で行っていました。各工場に点検簿を置いて、現場の担当者が手書きで記入する形ですね。2拠点10棟の工場に数百台の設備があるので、月次点検だけでも月間300枚以上の点検表が発生していました。 書類は係長が確認・押印したのちにまとめてファイリングして保管する流れです。作業自体は半日もかからないのですが、毎月これだけの枚数をさばくとなると、地味に時間も手間もかかりました。 管理者としては、点検が確実に実施されているのかを都度確認しなくてはいけず、負担が大きかったです。さらに悩ましかったのが、書類の保管そのものです。社内規定で点検記録は2年間保管が基本で、どんどん積み上がっていきます。 修理記録についても、メーカーからの作業報告書は担当者が個人で管理し、内容をメールで共有する運用でした。これだと修理が完了して初めて記録が残る形なので、「今どの設備が修理中で、いつ直るのか」というリアルタイムの状況は、担当者に直接聞かないとわからない状態でした。上司への報告を待たないと状況がつかめないというのも、現場としてはもどかしいところでしたね。


効果として大きかったのが、修理記録のステータス管理です。以前は修理が完了してから記録していたので、「今どの設備が修理中なのか」はリアルタイムではわかりませんでした。ゲンバトを導入してからは修理を始めた時点で入力できるので、その設備が対応中なのか完了しているのかが誰でもすぐにわかるようになりました。部品の納入待ちなどで作業が止まっている場合も、その状況がひと目でわかるので、「何が、どこで止まっているのか」を管理者がその都度確認しなくても把握できるようになったのは大きな変化です。担当者が急に休んだ場合でも、別の人が状況を引き継げる安心感も生まれました。 修理記録も点検記録と紐づけて管理できるようになったので、以前は現場の担当者が気を利かせて備考欄に一言メモを残してくれていたような情報も、今はきちんとデータとして残せるようになっています。 こうした取り組みは社外からも評価いただいています。ゲンバトを導入したことで、ISO監査においても設備の記録管理の仕組みについて高い評価をいただけるようになりました。また、あるお客様から個別に品質監査を受けた際にも、記録管理の仕組みについて非常に高い評価をいただいています。記録がきちんと整備・可視化されていることが評価につながり、取引先からの信頼にも良い影響が出ていると感じています。


今後は、点検・修理記録の管理だけでなく、検査測定機器の校正記録の管理にも活用の幅を広げたいと考えています。まずは宇都宮工場で実験的に導入してみる予定です。他社では設備管理ではなく校正記録の管理だけでゲンバトを活用されている企業もあると伺い、うちも設備に限らず活用の幅を広げられる可能性を感じています。 弊社は2040年に創業100周年を迎えます。「百年企業」として生き残っていくためには、最新設備を整えることと人材育成の両輪が欠かせません。会社としてもDXは積極的に進めていく方針で、ゲンバトの導入もその一環と捉えています。現場のデジタル化を通じて、社員が働きやすく、技術やノウハウがきちんと資産として残っていく仕組みを、これからも作っていきたいですね。 紙の管理や属人化に課題を感じている製造業の方には、ぜひ一度検討していただきたいですね。「困ったときの菊地歯車」と言ってもらえるよう技術を磨き続けているのと同じように、現場の仕組み作りも一歩ずつ着実に進めていきたいと思っています。
菊地歯車株式会社は、1940年の創業以来、自動車産業や油圧建機産業をはじめ、航空・宇宙産業、ロボット産業まで幅広い分野に歯車を提供してきた歯車専業メーカーです。
従業員約170名、10棟の工場に数百台の設備を展開し、国内トップクラスの技術力を誇ります。2040年の創業100周年に向け、最新設備と人材育成の両面から「百年企業」を目指しています。
